がんで障害年金は受給可能?社労士がポイントを解説!
はじめに
日本人が一生のうちにがんと診断される(がんに罹患する)確率は、男性65.5%(2人に1人)、女性51.2%(2人に1人)となっており、がんはもはや珍しくない病気と言えます。
これに対し、がんで死亡する確率は男性26.7%(4人に1人)、女性17.9%(6人に1人)です。(国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」 2019年データに基づく)となり、現代では「がんと共に生きる」という考え方が必要不可欠となり、そのために障害年金の受給は非常に大きな意味があるものです。
しかし、がんで障害年金の申請を検討される方の中には、
「自分一人で障害年金の申請を行うのは難しそう」
「どのタイミングで障害年金を申請できるのかわからない」
というような不安を抱いていることも多いのではないでしょうか。
障害年金の受給は生活を支える重要な一歩です。
この記事では、「がん」と「障害年金」の関係性に焦点を当て、障害年金受給のための具体的なポイントやステップについて、障害年金専門の社労士が優しく解説します。
この記事によって、みなさまの不安が解消され、未来が明るくなることにも繋がるかもしれません。
ぜひ最後までお読みください。
どのような時にがんを発症するの?要因となる傷病とともに解説
まずはがんの発症について、基本的な理解から始めましょう。
すでにがんの発症メカニズムと要因となる傷病について理解している方は次の「がんで障害年金を受給するためのポイントを解説!」からお読みください。
がんは、異常な細胞の増殖と悪性腫瘍(腫瘍)の形成によって特徴付けられる疾患です。通常、体の健康な細胞は特定の生物学的プロセスに従って増殖し、老化や損傷によって死滅します。
しかし、がん細胞はこれらの制御機構を失っており、不規則に分裂し、増殖して腫瘍を形成します。腫瘍が悪性である場合、がん細胞は周囲の組織に侵入し、体内の他の部位に転移する可能性があります。
がんはさまざまな組織や臓器で発生し得ます。例えば、乳房、肺、大腸、子宮、前立腺など、身体のさまざまな部分でがんが発生する可能性があります。がんは多くの場合、遺伝的な要因や環境的要因(たとえば喫煙、飲酒、紫外線曝露、特定の化学物質への曝露など)によって引き起こされます。
がんによる障害年金の認定基準とは?
がんを原因とする障害は以下の種類があります。
ア 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)によって生じる局所の障害
イ 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の障害
ウ 悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害
(日本年金機構「障害年金認定基準 第16節/悪性新生物による障害」より)
がんにおける障害年金の請求は、がんそのものだけでなく、治療による障害も申請対象となるのです。
がんでは診断書作成の際、基本的には「血液・造血器、その他の障害用」を使用します。この診断書においては「日常生活の認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する」とされているため、ここが障害認定の際一定の目安となります。
しかし症状の現れ方により、障害認定基準(どの程度の障害であれば障害等級に該当するか)が異なってくる場合があります。
がんの症状は、種類や進行の段階によって異なりますが、一般的な症状には次のようなものがあります
1. 腫瘍やしこりの形成
2. 不規則な出血や排泄の変化
3. 体重減少や食欲不振
4. 持続的な疼痛
5. 疲労や体力の低下
6. 皮膚の変化や変色
7. 呼吸困難や声の変化
これらはほんの一例ですが、こういった症状に合わせてどの障害認定基準をもとにするか、どの診断書を作成するかを考えていきます。
がんと認定日の関係は?
がんに関しては他の障害年金請求とは異なる確認すべき要件があります。
それが「認定日」です。
ここではがんで障害年金を受給するポイントであるこの「認定日」について解説します。
通常、障害年金の支給要件である「認定日」は「初診から1年6カ月経過後」とされています。
しかし、がんはその治療法により障害認定日に特例が適用される場合があるのです。
以下、例を挙げます。
人工肛門造設、尿路変更術をした場合 | 造設日または手術日から6ヵ月を経過した日 |
新膀胱を増設した場合 | 造設日 |
喉頭全摘出した場合 | 全摘出した日 |
在宅酸素療法を行っている場合 | 療法開始日 |
このような治療を行った場合、障害認定日が通常より早くなる可能性があります。(初診から1年6か月経過したあとに治療を行った場合は、障害認定日の特例は適用されません。)
つまりがんで障害年金の請求を行う場合、治療法によっては他の傷病より早く請求出来、結果早く受給することができる可能性があるのです。
要件に該当する場合はなるべくお早目に申請されることをおすすめします。
障害年金を申請するための3つの要件について
がんをはじめ、どのような傷病であっても障害年金を申請するうえで、いくつかの要件が必要になりますが、なかでも特に重要な要件3つをご紹介いたします。
障害年金の受給を申請するための3つの要件は以下の3つです。
・初診日要件
・保険料納付要件
・障害状態要件
初診日要件について
初診日要件とは、障害の原因となる病気や怪我で初めて病院で医師の診断を受けた日のことを指します。
保険料納付要件について
障害年金を受給するためには、一定の期間に保険料を納めているかどうかが重要となってきます。
①初診日の前々月までの納付必要期間に対して3分の2以上納付していること
②初診日の前々月から過去1年間に年金の未納が無いこと
のどちらかを満たしていることが条件です。
※20歳前障害の場合は、保険料の納付要件は問われません。
障害状態要件について
障害年金を貰うためには障害認定日において、一定の障害の状態にあることが必要です。障害認定日とは本来は「初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日」を指しますが、先に解説したとおり治療法によっては認定日の特例対象となる場合もありますので、必ず該当するか否かをご確認ください。
詳しい障害年金の納付要件についてはこちら>>>障害年金認定方法・等級
最後に
ここまで、がんで障害年金を受給するためのポイントについて、
・がんの発症のメカニズムと要因となる傷病
・がんによる障害年金の認定基準
・がんの障害認定日の考え方
・実際に障害年金を申請するときのポイント
以上の4項目をもとに解説してまいりました。
がんから障害状態となったことで障害年金を受給したいと思っている方、
ぜひ今回解説した障害年金を受給するためのポイントや要件を現在の自分と照らし合わせてみてください。
しかし、どれだけ調べてみても、実際に申請するとなるとやはり不安が残ってしまいますよね。
どれだけ障害年金の受給要件に該当したとしても、申請の仕方次第で障害年金の等級が思ったよりも低かった・・ということもあります。
また、障害年金の申請は3回まで再申請できますが、再申請によって障害年金の受給が認められる確率は13.73%(令和4年度)となっています。(厚生労働省:社会保険審査会 年度別(再)審査請求受付・裁決件数等の推移)
1度目の申請が非常に重要になってきます。
もし自分が受給要件に該当しているのに、症状に見合った障害年金が受け取れなくなるというのは非常にお辛いことだと思います。
私としても、1人でも多くの障害年金を受け取る権利がある方に症状に見合った障害年金をお届けして、みなさまの不安解消と人生を楽しむきっかけづくりをお手伝いさせていただきたいと思っております。
もし、今この記事を読んでいるあなたが少しでも症状が障害年金の要件に該当すると思ったら、障害年金専門の社労士に相談してみてください。
当事務所では、初回相談を無料で承っております。
私の持てる知識と経験を活かして、
みなさまの明日が少しでも明るいものになるように親身に寄り添い、真剣に対応させていただきます。
ぜひお気軽にご相談ください。
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