【2024年版】障害年金の遡及請求(遡り)の成功率は?難しさや申請の注意点について社労士が解説!

障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つであり、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度です。
障害者のための特別な手当と勘違いされている方もいらっしゃいますが、実は老齢年金と同じ公的年金なのです。

障害年金を請求できるタイミング

障害年金の申請は、原則的に初診日から1年6カ月(認定日)を経過していれば申請をすることが出来ます。
※初診日とは障害年金を申請する傷病で初めて病院にかかった日を指します。

1年6カ月(病気によっては例外有)を過ぎていれば、請求はいつでもできることになります。
わかりやすく言えば、初診日から1年6カ月経過した時点の診断書が書いてもらえれば、最速で申請が出来ることになります。

遡及請求とは

障害年金の請求は大きく認定日請求・事後重症請求・遡及請求の3種類に分けられます。

認定日請求(本来請求)

障害認定日の時点で障害等級に該当するかどうか審査してもらう請求を「認定日請求(本来請求)」といいます。

 

事後重症請求

障害認定日の時点では症状が軽く障害の状態に該当しなくても、あとから障害等級に該当する程度の症状になった場合、該当するようになったときに請求することができます。これを事後重症請求といいます。ただし、事後重症請求は65歳までにしなければなりません。

遡及請求

障害認定日に障害等級に該当していたけれど、障害年金のことを知らずに当時は請求していなかったという人などは、障害認定日の時点にさかのぼって請求することができます。これを「遡及請求」といいます。
遡及請求は必ず「障害認定日」にさかのぼって請求します。1番症状が悪かった任意の時期にさかのぼって請求することはできません。

遡及請求をするためのポイント

以下の3ポイントをクリアできれば請求できる可能性が高いです。

①認定日から3ヵ月以内の診断書と現在の診断書の2枚を提出
②その診断書の内容がそれぞれの障害認定基準を超えている
③保険料納付要件を満たしている

保険料納付要件について詳しくはコチラで解説しております。

すぐに申請した方が良いのか

遡及請求ができ、審査の結果認定日での請求が認められた場合には、1回目の振り込みの際に、過去の年金額がまとめて支給されることになっています。

しかし、注意していただきたいのは、年金の遡りは最高5年間という決まりがあります。
仮に認定日が8年前の申請が認められたとしても、年金を支払ってもらえるのは5年間のみです。

また、その他にも請求が遅くなると以下のような障害が生じる可能性があります。

カルテが保存されていない

遡る期間が長いほど、病院にカルテが保存されておらず、申請を断念せざるを得ない方もたくさんいらっしゃいます。
総合病院など大きな病院は、特にカルテの保存期間が最高5年というケースが多々見受けられます。

当時の医師がいない

特に遡りの診断書は、当時受診した医師がまだいらっしゃればあまり問題ないですが、大きな病院ほど当時の医師がいないことがあります。
その場合には、当時の診断書の作成を断られる場合もありえますし、今の医師が当時のカルテを見て書くということもありえます。
その場合実際のところ当時の症状を的確に反映した診断書が出来上がってくるのかも疑問になります。

遡及請求で支給される金額

遡及請求の条件に該当している場合には、最高5年の年金を受け取ることができます。
例えば、障害基礎年金2級の場合には、5年の遡りが認められると約400万円近くの年金を1回目に受け取ることが出来ます。

遡及請求の成功率はどのくらい?

成功率が比較的高い傷病

人工関節や脳梗塞、ペースメーカーなどの傷病は、いつ症状が固定したか証明する「障害認定日」が認められやすいため、遡及請求が認められやすい傾向があります。

精神疾患の方は、認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日)に通院されており、就労することが出来なかった場合などは認められたケースが多くなっています

成功率が比較的低い傷病

糖尿病など病状が徐々に進行する傷病は、初診日、障害認定日を証明しづらいため、遡及請求が難しい場合があります。

・糖尿病は初診日の証明が困難
・精神疾患は、認定日から現在までの間に病状が回復した期間があると難しい場合があります。

ただし、病状によって状況がかなり変わりますので、まずはご相談ください。
また、医師との関係性もとても大事です。医師に診断書を依頼した際に、日常生活がどのくらい自立して行えるか答える項目があります。この項目が、「できる」にばかりにされてしまうと、障害年金の受給可能性が下がってしまいます。

診断書を適切に医師に書いてもらうために、ご自身がどのような日常生活を送られているのかきちんと日頃から説明する必要があります。

社会保険労務士は医師への依頼の仕方を熟知しております。もし、診断所の書き方に不安な点がある方は一度、専門家の社会保険労務士に相談しましょう。

その他の遡及請求の成功率が比較的低いケース

かかりつけ医がおらず、複数の病院で診察を受けている方

複数の病院で診察を受けている場合、初診日証明が難しいことがあるので、遡及請求が難しい場合があります。

初診日が5年以上前の病状は遡及請求が取りづらい

意外とご自身の病歴を、発症当時から覚えている方は少ないのが現実です。発病から初診までの状況、当時の行動範囲などを詳しく聞き、証拠の残っている可能性のあるところを一つずつ探します。実は初診日の証明は受診状況等証明書を出せなくても、それに代わる資料が見つかればなんとかクリアできます。資料集めなら社労士にお任せください。

 

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